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タレスのジェムアルト買収による相乗効果は?「guavas」の展開を強化

2019年4月10日8:30

ジェムアルト(Gemalto)は、2019年4月9日に記者説明会を開催した。4月2日にタレス(Thales)によるジェムアルトの買収が完了したこともあり、今後のデジタルアイデンティティ、セキュリティベンダーとしての展開について紹介した。

HSMで8割のシェアを占める欧州と米国で買収の手続きが難航

オランダのジェムアルトは、デジタルセキュリティベンダーとして、2017年の年間売上高は30億ユーロを記録し、世界の180か国以上に顧客を有している。フランスのタレスは、デジタルセキュリティ分野を強化するため、ジェムアルトの買収に15カ月の期間、48億ユーロを投じた。

モバイルサービス&IoT事業本部 本部長 蔦田剛士氏

2018年3月にオランダのファイナンスマーケットから合意を得て、各国での合意作業が進行。2018年8月~12月まで、オーストラリア、中国、イスラエル、メキシコ、ニュージーランドなど、各市場で買収に向けた動きが着々と進んだが、一番難航したのが欧州とアメリカだった。両市場では、HSM(Hardware Security Module)のマーケットシェアがトータルで8割を超えるためだ。2019年2月、3月に両市場での承認が下り、4月2日に買収が完了した。

ジェムアルトはタレスの7番目の事業部門

今回の買収により、タレスは事業部門として6つあるが、ジェムアルトはタレスの7番目の事業部門として「デジタルアイデンティティ & セキュリティ」(DIS)という名称で活動することとなる。ジェムアルトのCEOであったPhilippe Vallee氏が同部門のヘッドとなる。

現在、タレスのセキュリティ部門は売り上げが500億あり、同部門で2,000人を有するが、タレスグループの全セキュリティのビジネスがDISに統合される。

両社の統合によるシナジーとして、タレスの「guavas(グアバス)」をDISのテレコムネットワークキャリア、IoT、エネルギー関係などに販売することなどを想定している。グアバスは、テラベースのデータを他のAIよりも速いスピードで必要に応じて仕分けして、プラットフォームの効率化、カスタマーサービスのサービス向上に生かすことができるそうだ。すでに、米国、欧州、アジアで採用されている。

タレスは、航空、宇宙、陸上交通、デジタルアイデンティティおよびセキュリティ、防衛および安全保障などの事業を展開している。例えば、航空の管制塔システムは全世界で60%のシェアを誇る。また、人工衛星のシグナリング、鉄道の運行管理システムも全世界で提供している。アジアでは、シンガポールや香港の地下鉄はタレスのシステムで運用されている。防衛は、戦闘機や戦艦、ロケットのシステムのシグナリング、戦闘状態に入ったときに無線が傍受されないようなセキュリティシステムを組み込んでいる。また、街の中で生活者が安全に生活できるようなスマートシティの仕組みを提供している。

ドローンのトラフィックマネジメントなどを展開、研究開発部門には2万8,000人が所属

買収後の展開としてモバイルサービス&IoT事業本部 本部長 蔦田剛士氏は、「もともとタレスが持っているビッグデータを収集して、それを最終的に目的別に仕分けして、お客様に提供するというところまでします」と説明する。そのうえで、ジェマルトの得意とするデータに関する認証を協力して提供していく。

また、タレスが管制塔のシステムを提供する中、新ビジネスとしてドローンのトラフィックマネージメントができていないため、タレスのシグナリングによるマネジメントネットワークを適用させていく。

なお、新たなグループの中心となる研究開発(R&D)部門には、タレスの2万5,000人、ジェマルトの3,000人の技術者が所属している。

当日は、5Gコアネットワークに対応する世界初となる5G SIMについて、モバイルサービス&IoT事業本部 フィールドマーケティング  米沢正雄氏が説明した。同社は、2019年上半期中に、リムバーブルSIM、M2M SIM、eSIMなどのすべてのファクターで提供する予定だ。

モバイルサービス&IoT事業本部 フィールドマーケティング  米沢正雄氏