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ソフトバンクとArm、博報堂の3社がデータマーケティングの新会社「インキュデータ」を設立

2019年9月12日8:00

企業が保有する顧客データの統合・活用によるマーケティングの最適化、事業変革を支援

ソフトバンクと、ソフトバンクグループ傘下でCDP(カスタマーデータプラットフォーム)「Arm Treasure Data eCDP」を提供するArm、博報堂の3社は、9月5日、都内で記者発表会を開催し、データマーケティングを推進する合弁会社「インキュデータ」を設立したと発表した。3社の強みを持ち寄って、企業が保有している顧客データの活用をワンストップで支援する。データ活用によってマーケティングを最適化するPDCAサイクルを回し、売上向上を図るにとどまらず、デジタル化による事業変革を後押しし、企業の競争力強化に貢献したい考えだ。

左から、Arm データビジネス担当バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー 芳川裕誠氏、インキュデータ 代表取締役社長 藤平大輔氏、ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井康之氏、博報堂 取締役常務執行役員 中谷吉孝氏

ソフトバンクのデータマーケティング部隊が培ってきた知見と
博報堂、Armの強みを結集

ソフトバンク、博報堂、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の「Arm Treasure Data enterpriseCDP」(以下、eCDP)を提供するソフトバンクグループ傘下のArmは、データ活用による企業の事業変革を支援する合弁会社、インキュデータを設立した。戦略立案から、施策実行のためのデータ活用・分析基盤の構築・運用、コンサルティングまでをワンストップで提供することにより、企業の競争力強化に貢献する。マーケティング実施に当たっては、企業が保有する独自の顧客データをベースに、匿名化したソフトバンクのユーザーデータ、博報堂が保有する生活者データ、および、Armが提供するeCDPを併せて活用する。

ソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井康之氏は、現在、世界経済を牽引しているのはマイクロソフト、Apple、Amazonをはじめとするデジタルデータ活用に秀でた企業であると指摘。日本企業復活のカギはデータマーケティングにあると述べた。

ソフトバンクは2012年に法人部門にデータマーケティング部隊を発足させ、翌2013年にヤフーと協業でO2Oサービス「ウルトラ集客」の提供を開始。2014年にはオプト社との共同出資会社「Generate」を設立して、動画や位置情報を駆使したソリューションの提供を開始。2016年には高精度ターゲティングが可能な広告配信プラットフォーム「SoftBank Ads Platform」を提供開始したほか、シナラシステムズジャパン社と共同でリアル来客分析サービスの提供を開始。2018年にはArmのeCDPの提供を開始している。
インキュデータは、ソフトバンクがこれらの経験で培ってきた知見を核に、博報堂、Armの強みを持ち寄って設立したデータマーケティングの専業企業。3社はこれまでも協同で、たとえば流通業の商品企画、交通会社のCRM策などに取り組んできた実績があるが、今回の新会社設立によって、よりスピーディ、シームレスな対応が可能になる。

データのサイロ化、デジタル化の遅れ――
データ活用を阻む企業の課題解決に取り組む

今回、インキュデータの代表取締役社長に就任した藤平大輔氏は、2012年に発足したソフトバンクのデータマーケティング部門の創立メンバーの一人。藤平氏はこれまでの経験を振り返り、「せっかくのデータが分析するだけ、部門ごとの単発のキャンペーンに使われるだけに終わってしまうケースに多々遭遇し、フラストレーションを抱いていた」と述べ、「インキュデータではデータを徹底的に活用する」と力を込めた。

企業のデータ活用をはばむ課題として、デジタル化へのビジョンの欠如、データが部門ごとに分散管理されていること(データのサイロ化)、データサイエンティストの不足などが挙げられる。インキュデータは、ソフトバンクの事業共創ノウハウ、国内No.1の導入実績を誇るArmのCDP、博報堂グループのリソースをフル活用した施策実行力で、これらの課題を解決する。

博報堂 取締役常務執行役員 中谷吉孝氏は、「博報堂の強みは、“生活者発想”と“パートナー主義”にもとづく課題解決力。システムコンサルテーションにも実績があり、3社をつなぐ“のりしろ”の役割を果たしていけると考えています」と語った。Arm データビジネス担当バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー 芳川裕誠氏は、「マーケティングはデータ活用の第一歩にすぎません。マーケティング以外の領域でもデータ活用を進め、企業経営のバージョンアップを支援していきます」と抱負を述べた。

アライアンス・パートナー、ヤフーのサポート事例
流通業・サービス業の商品開発・売上向上に貢献

ヤフー 常務執行役員 メディアカンパニー長 宮澤弦氏

インキュデータのアライアンス・パートナーとして記者発表会に登壇したヤフー 常務執行役員 メディアカンパニー長 宮澤弦氏は、「ヤフーがさまざまなサービスを通じて蓄積しているデータは、日本をアップデートする礎になります。データを通じて豊かな未来づくりに貢献したいと考えています」と述べた。

ヤフーは現在、ニュース、ネットショッピング、ファイナンシャルサービスなど、100を超える多様なサービスを提供。トータルの月間ログインユーザー数は4,800万人以上、月間ページビューは700億以上、月間ユーザーシグナル数は1兆を超える。ヤフーでは社内に約500人のデータサイエンティストを抱え、ユーザーシグナルを日々、解析している。
ヤフーでは、これらのデータを広告・マーケティングの領域で活用するためのデータマネジメント・プラットフォームをリリース済み。すでに大手百貨店におけるアパレルの商品開発、スポーツジムにおける入会促進キャンペーンなどで実績を上げている。今後はデータ活用を、マーケティングのみならず生産や物流など幅広い分野に広げ、インキュデータとともに企業の課題解決に取り組んでいく意向だ。

インキュデータとヤフーが口をそろえて強調したのは、データを扱う企業の責任。顧客データの帰属先はあくまでクライアント企業というスタンスを保持しながら、マーケティング戦略、経営戦略の部分ではクライアント企業に密接に寄り添い、目標達成まで並走したいとしている。